どんな機器に使われているのか?
さて先程のページで紹介したMIDIの技術が果たしてどのようなものに使われているのか、どのような機器がその規格にそって作られているのかという疑問をいだいた方もいるかもしれません。そんなMIDIが用いられているソフトウェアやハードウェアについてこのページでは一例を紹介していきます。果たしてどのような使われ方をしているのか、見て行きましょう。
音楽制作
やはり総合的な音楽制作用途での利用が一番MIDIのメジャーな使用方法だと思います。特に今ではパソコンとソフトウェア音源さえあれば、大掛かりな設備などを全く使わずともプロと同等の楽曲を制作できるまでにいたっています。そんなことからか、このDTMというものは90年代から一般の趣味として普及していき、そのためのソフトウェアやハードウェアが数多く発表されていきました。
現代では、オーディオ編集とMIDIデータ編集(MIDIシーケンサ)を同時に行えるDAWという仕組みが実際の職業作曲家からアマチュアに至るまで幅広く普及しています。
ハードウェア
送信側
ミュージックシーケンサー(ハードシーケンサー)
MIDIコントローラー
シンセサイザー(MIDI OUT端子が有るのならば、他のMIDI機器を制御可能)
ミュージックワークステーション(DAW)
受信側
シンセサイザー
ミュージックワークステーション
音源モジュール
ソフトウェア
送信側
ミュージックシーケンサー(ソフトシーケンサー)
デジタルオーディオワークステーション (DAW)
受信側
ソフトウェア・シンセサイザー(ソフトウェア音源)
Microsoft GS Wavetable SW Synth – Microsoft Windows 2000より後のWindowsに搭載されているソフトウェア音源
QuickTimeミュージックシンセ – Mac OSに標準のソフトウェア音源
かつては、ハードウェア音源を用いる代わりに、PCM音源等の音源データをソフトウェア向けに加工して、パソコン上のサウンドボードでMIDIファイルの再生が出来るというソフトウェアMIDI音源も開発されていました。しかしこれは、同時発音数や音質がCPUの性能に依存するといったリアルタイム演奏には不向きな問題がありました。
しかし今現在は、一般のパソコンがソフトウェア音源を処理するのに十分な性能を持ったことと、再生時に音源が不要なMP3等の圧縮音声ファイルフォーマットが幅広く普及したことによって、一般ユーザーではDTM愛好家以外のハードウェアベースのMIDI音源の使用は著しく減少しています。また、今では回線自体が高性能化したことからMIDIファイルで音楽を渡す文化自体が消えてしまっていて、MP3やWAVといったミックスダウン済みの音楽データをやりとりすることが一般的になっていることからも、一部の作曲勢以外にはほとんど馴染みのないものになってきています。
録音・MA
録音やマルチオーディオ(MA)ではMIDIが利用されていることもあります。これは演奏情報を送受信するためではなく、システムメッセージといったものを中心とした同期処理に用いられております。
ハードウェア
送信側
ミュージックシーケンサー(ハードシーケンサー)
ドラムマシン、リズムマシン
コントロールサーフェス
受信側
マルチトラックレコーダー (MTR)
ビデオテープレコーダー (VTR)
ソフトウェア
送信側
ミュージックシーケンサー(ソフトシーケンサー)
デジタルオーディオワークステーション (DAW)
受信側
ミュージックシーケンサー(ソフトシーケンサー)
デジタルオーディオワークステーション (DAW)
カラオケ
またカラオケで流れている歌声の無い音楽もMIDIデータで制作されていることがほとんどで、そうした最新曲のデータをインターネット回線によって各カラオケ店に送信し、カラオケの機械自体がそのMIDIデータにそって音を鳴らしているという仕組みになっています。またこのカラオケデータにかんしては、カラオケデータを専門として作っている制作チームやプログラマーなどによってソフトシーケンサなどを利用して打ち込まれた物が多く、実際にその企業から通信カラオケ配信企業へと卸されているといった時lt油帯があります。
ハードウェア
送信側
通信カラオケ機器
受信側
通信カラオケ機器
モバイル機器・着信メロディ
また、今ではあまり見かけませんが、2000年代前半に活発化していた32和音対応、40和音対応といったような着信メロディにもMIDI規格が応用されていました。また携帯自体にこれらの着信メロディーを作るための簡易的なMIDIシーケンサが吐いているものなどもあり、一時期はこうした物を利用して好きなアーティストの曲を耳コピするというのが流行りましたね。
ハードウェア
送信側
携帯電話
受信側
携帯電話
携帯電話内のデータを、携帯電話内に搭載された音源が処理し音を鳴らしています。
舞台照明・演出
1991年にRP-002としてMIDIショーコントロールが定義されました。これはライブハウスなどではOSCによって代替されていることもありますが、以前MIDIなども用いられていることも多いです。この技術の確立により、MIDIで舞台装置、照明、演出効果等が制御できるようになりました。
ハードウェア
送信側
ホストコントローラー
受信側
各舞台用機材(照明等)
身近なものだとこんなものも
さて、様々な物がMIDIによってなりたっているということがわかったかもしれませんが、人によってはあまり馴染みがないものだと思った人もいるかもしれません。しかし、実際にはもっと身近なところにもこの技術は使われているのです。例えば鉄道のプラットホームで流れる発車メロディや、学校・企業で流れるチャイムを再生するタイマー等もMIDIの規格が応用されており、実際にもっと身近な場所などでも音にまつわるものであればこの規格が用いられているということが十二分にあるのです。そういった事情から、このMIDIに関して詳しい知識や正しい使い方を学んでいるという必要性が生まれ、実際にMIDI検定など設立にも繋がっているのです。